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ビチ子! あちし ちびっ子ビチ子っていうの! あたし、もう先が長くないの! |
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あちし と あたし! あちしビチ子よ! あたしは何処か! 連れてかれるの! |
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あたしの次はあたい! あたいの次はあたち! あたちの次はあちしなの! あちしの次はわたしなの? |
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「つまり人格増殖かね。」 ヴィルヘルム卿は、懐中時計に手を伸ばし言った。 タイレル社製の懐中時計。 鍍金は剥げモンルナの彫りも欠けてしまっている。父の日の贈り物。 時刻は10時を過ぎたところだった。 どうせ娘も門限など守っていまい。 「ふふ、そんな安く纏められては彼女に失礼でしょう。」 伊藤は部屋の隅の其れを見つめながら笑った。 |
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「あのイトウという男、やはり狂っている。」 ヴィルヘルム卿を乗せた馬車は帰途を急いでいた。 タイレル社製の懐中時計の針は午前零時を回っていた。 娘もさすがに帰っていることだろう。 「つまらない話に付き合いすぎた。 投資は辞めにしよう。」 馬車はコックス通りを曲がり白人区に消えていった。 ・・・ コックス通りを貧民窟へ急ぐ馬車の姿があった。 ヴィルヘルム卿の娘が強姦されたのだ。 目指すは伊藤の研究所。 ヴィルヘルム卿が吼える。 御者の鞭がしなる。 |
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あたし! あとぅあし! あつぅあし! あつぅうぃし! あつぃぅし! あつぃし! あちし! あちしビチ子よ! 呼ばれたから帰ります! がちゃん! ただいま! おかえり! いってきます! |
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イトウ! 金は出す! ヴィルヘルム卿は馬車を降りるや否や 伊藤の研究所へ駆けた。 伊藤は扉を開き、ヴィルヘルム卿を 招き入れる。 笑っているのか? 伊藤の顔は部屋からの光で見えない。 御者が眼を凝らす前にその扉は閉じた。 |
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おじゅおひょぴょぴょぴょぴょ。 うふふふ。 |
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「おお、なんと・・・。」 ヴィルヘルム卿は声に詰まった。 「いま、ちょうどお宅のお嬢さんと彼女を 遠隔思念で繋いでいた所です。」 伊藤は、ソレの体液に染まった手袋を 脱ぎ捨てながら言葉を続けた。 「ご安心ください。 お嬢さんは強姦になどあっていません。 おおかた密会を隠して嘘でもついたのでしょう。」 のたうつソレは辺りに体液を撒らす。 「ほら、彼女をごらんなさい。彼女の動きはそのまま今現在のお嬢さんの動きを反映したものです。」 ソレの口が開き唸りを上げた。 『だいじょうぶびょ、おどうざまわ、まだかえっできやじにゃいばぱ、うふふ。』 |
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「彼女を。ビチ子をよびだしてくれ。」 |
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ビチ子! あちし ちびっ子ビチ子って言うの! あちしは膜を閉じにきたの! どこかの破けた膜を閉じちゃうの! 膜は閉じてもすぐ破れちゃう! あちしもう先は長くないの! だから幕を閉じちゃうの! 閉膜閉幕さいならら! |
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そして70年後。 サラリーマン増税反対のデモ行進は ついに首相官邸へ突入。 増税は阻止されたが、 勢いあまって最終装置が誤作動。 最終戦争に発展し文明は崩壊した。 おしまい。おしまい。 |
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笑って食べられるって、いいじゃない。 |
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ちびっ子びち子は不定期連載作品となっております。